須田泰三の箴言(しんげん)


在りし日の須田泰三先生と私
(第86回海外流通視察ゼミ:ニューヨーク郊外にて)

須田泰三(たいぞう)先生

須田泰三先生は、東京都出身。中央大学経済学部卒業されてます。

若いころから、当時箱根で開催されていた「商業界ゼミナール」で学ばれ、倉本長治先生、新保民八先生の薫陶を受けられます。

商店経営指導センターを設立、その「一億クラブ」会員は、全国に1,000店を超えています(1995年当時)。

全国各地商工会議所、商工会、中小企業大学校等に年間150回をこえる講演のほか「日経流通新聞」「商業界」「食品商業」「ファッション販売」「飲食店経営」「セルフニュース」などの執筆活動、テレビ朝日、ラジオたんぱ、などの商店経営番組にも出演されました。

主著に「須田泰三・商店急成長の秘訣」(青也書店)「須田泰三の商店経営」「須田泰三の推奨繁盛店」「続・須田泰三の推奨繁盛店」「須田泰三・暮らしの衣料商法」(ビジネス社)。「どんな店でも必ず伸びる」「須田泰三・あなたもなれる町の一番店」(経営情報出版社)などがあります。

2005年(平成17年)2月7日、たくさんの皆様に惜しまれながら永眠されました。

巷にあふれる成功論、成功哲学は、他人を踏み台にしてピラミッドの頂点を目指す、他人を騙して儲ける、他人の懐に手を突っ込んで儲けをかすめ取るのがほとんどではないでしょうか。

須田先生は違うのです。

「『私の店はお客サマにとってなくてはならない店です』と誇りを持って、お客のニーズと真剣に向き合い努力し続けなさい。自分の都合よりお客の都合を優先し、『朝は朝ボシ、夜は夜ボシ、昼は梅ボシいただいてお客様に奉仕する』商いの優等生になることだ」と説き続けられました。

「店はお客様のためにある」は革命思想。大型店がバランスに挑戦するなら、我々はアンバランスに挑戦し、価格の安さと鮮度、品質、接客で驚きと感動を与え続けるのです。

これは他人との戦いではなく自分との戦いです。

従業員は搾取する対象ではなく、共に学び成長する同志です。

だから「心がまえ」さえかえればどんな小さな店でも、どんな古い店でも必ず伸びるのです。

「心がまえ」とは、「店はお客様のためにある」にほかならない。

須田先生が私たちに残してくれたもの

泥まみれ、貧乏まみれ、借金まみれの商いが一変、今や押しも押されぬ地域一番店になった。

ケチで優柔不断、口を開けばグチ、言い訳ばかりの商店主が別人のように生まれ変わった。

「商売はつまらん」「人生に目的などない」とやる気になかった青年がパッと目が覚め、人が変わったように商売に打ち込むようになった。仲間を増やし、取引先などの協力者が増え、将来は大チェーンができそうな勢いだ

「店はお客様のためにある」須田先生の教えで勇気と希望が湧き、こころに革命を起こし、人生を変えた商人がどれだけいるでしょうか。

須田先生の箴言(しんげん)は2段ロケット

須田先生の箴言は、2つの力があります。

第1は、無から有を生み出す力です。商売はつまらん」「人生に目的などない」とヤル気のなかった青年が、須田先生の話を聴いて須田先生を信じて一歩踏み出す。無我夢中で格闘する。上手くいきはじめると壁がある、壁を乗り越えてもまた壁がある。何回かの壁を超えると自分の心の奥底にあるマグマに辿り着くのです。

第2は、1を100に伸ばす力です。須田先生は、「どんな店でも必ず伸びる」「伸びるためには、①売る場所、②売る品、③売り方を変えよ」常に、バージョンアップを心がけ、時々、モデルチェンジを仕掛けることが、1から10、10から50、50から100へと伸ばすことなのです。

「店はお客様のためにある」は革命思想

「店はお客様のためにある」この言葉の表面をなぞっただけでは、須田先生の真意はわかりません。

一つ掘ると「喰うための商売ならやめてしまえ」と叱られます。

もっと掘ると、「売る身になって買う人はいないのだから買う身になって売ることだ」と続きます。

そして「安く買ったら安く売れ、高く買っても安く売れ、何が何でも安く売れ」と言われます。「これじゃどこで儲ければいいのか?」と頭の片隅で疑問があっても、汗まみれ、泥まみれになってお客に驚きと感動を与えようと格闘します。

「君の店には誇りはあるか。なくてはならない店か」さらに須田先生叱咤(しった)激励(げきれい)が飛びます。

そんなときです。「こないだの白菜とってもおいしかったよ」「オタクがあって大助かりだよ。他じゃあこんなネダンで買えないよ」あっちこっちから嬉しい声がかかりはじめます。

「オレがやってきたことは間違いじゃなかったんだ」この時初めて、お客の心が見えるようになったのです。

お客の心が見えるようになると。商売が楽しくてしょうがありません。「商売はつまらん」「人生に目的などない」と無気力の日々を送っていたのがウソのようです。

「やっと気づいた。驚きと感動を与えるのがオレの仕事だ。自分一人じゃ多寡が知れている。仲間を増やそう」

「お客に驚きと感動を与えるには今のままじゃだめだ。もっと良い品を安く売ろう、感じの良い接客を心がけよう。駐車場はもっと広くなきゃダメだ・・・。商売を根本から変えよう」

青年は革命家になったのです。

与えるだけで見返りを求めない人生、驚きと感動の革命戦士となる、須田先生の教えは活き続けてます。

須田先生の箴言(しんげん)は我々の魂を揺さぶり続けてます。

あきないで大切なことはすべて須田泰三先生から学んだ
曼荼羅チャート

 

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